今回は自作したSteam専用PCの水冷化作業なんだな。
↓前回の記事↓
選定した水冷パーツ
先月末に組んだゲーム用の自作PCであるが、仮組状態で1週間程度使用して問題がなかったので、CPUの冷却を空冷から水冷に変更する。今回はGPUを空冷のまま使用するのでメインPCのような大掛かりなシステムは必要ない。このPCの構成に関しては、前回の記事を参考にして欲しい。
CPU水冷ブロック | EK-Quantum Velocity2 DDC 4.2 PWM D-RGB – 1700 Nickel + Plexi |
ラジエーター | EK-Quantum Surface P360M – Black |
コンプレッション F | EK-Quantum Torque STC-10/16 – Nickel 4個 |
ロータリー F | EK-Quantum Torque Extender Rotary MF 14 – Nickel 2個 |
90°ロータリー F | EK-Quantum Torque Rotary 90° – Nickel 2個 |
ソフトチューブ | EK-Tube ZMT Matte Black 15,9/9,5mm (3m RETAIL) |
ケースファン | Noctua NF-A12x25 PWM chromax.black.swap 6個(吸気3,排気3の構成) |
上の表は今回選んだ水冷パーツの一覧である。表の左側の項目「F」と付いているのはフッティングである。メーカーはケースファンを除いてEKWBで揃えてみた。完全に自己満足である。
EK-Quantum Velocity2 DDC 4.2 PWM D-RGB – 1700 Nickel + Plexi
まずは最も重要なCPU水冷ブロックであるが、この製品は水冷ブロック、ポンプ、リザーバーが一体になっているものである。最近発売されたものなので情報が少なく未知であったが、EKWBの製品は信頼性が高いので問題ないだろうと判断し購入した。搭載しているポンプはDDC 4.2なので十分な性能である。アドレッサブルRGB LEDも搭載しているので、透明のアクリル部分が光るようになっている。そこまで性能を必要としない場合はこういった一体型の方が設置しやすく見栄えも良い。
ただ、ポンプ一体型水冷ブロックはゴムマウント等を使わずマザーボードに直接固定する構造のため、DDCポンプ特有のノイズが若干大きめに聞こえそうである。しかしながら、DDC 4.2はかなり高出力なので、PWMを30%以下に設定しても十分な冷却性能を維持できる。回転数を下げればノイズは殆ど発しないので、静音性に関しては特に問題はないだろう。
EK-Quantum Surface P360M – Black
取り付けているCPUはインテルの「Core i9-13900K」なので、CPU単体の最大消費電力は300W強である。ゲーム用途なら360サイズ 厚さ30mmの本格水冷用ラジエーターでも冷却が追いつくが、静音性を重視するなら容量の大きいラジエーターが望ましい。エンコードなどの高負荷作業は行わないので常時300W以上消費している訳ではない。あまり神経質にならなくても良いだろう。ていうか、最近の爆熱CPUで冷却が不足する原因は水冷の場合、主に水冷ブロックの性能不足である。AIO水冷クーラーを使っているのに思うように冷えないのは、ベースプレートの加工精度が悪いことやバッファの不足、ポンプの能力不足などによるもの。水冷に詳しいジサカーなら周知だろう。
ラジエーターはPCケース天面に設置するので、最終的に性能と見栄えを考慮し360サイズ 厚さ44mmのものを選んだ。同シリーズで厚さ58mmもあるが、これだと背の高いメモリに干渉してしまうし、280サイズだと奥行きがあるので設置に難儀するだろう。最初に360サイズ 厚さ30mmのラジエーターを側面(吸気側)と天面にふたつ仮組してみたが、今のPCケース「H7 Flow」だとフッティングの取り回しの関係で無理であった。吸気にラジエーターを設置するとビデオカードの冷却が悪化するので、今回は天面のみに設置する。冷却が不足するようなら後でまた考えることにする。
フッティングはEKWBから2020年頃に発売された「EK-Quantum Torque」シリーズのものを選んだ。「EK-Quantum Torque STC-10/16 – Nickel」はコンプレッションフッティングで、ソフトチューブを接続するものである。「10」がID 10mm、「16」がOD 16mm、つまり、内径10mm 外径16mmのソフトチューブに対応しているということである。必要に応じて角度付きのロータリーフッティングを用意すればストレスなく組める。ロータリーはその名の通り、付け根が自由に回転するフッティングである。90°や45°というのはそのままの意味で、取り付け角度を変更するフッティングである。ストレートロータリーは、角度を変更せず回転させたい箇所に使う。また、チューブのねじれや緩み防止で使うことも多い。取り付け角度を変更しなくてもストレートのロータリーは入れた方が良い場合もある。スペースが限られているのであれば無理に付ける必要はないが。
このシリーズのフッティングはカラーバリエーションは5種類あるのだが、水冷ブロックがニッケルなので、フッティングも同じニッケルにした。王道だとつまらないのでゴールドにしようかとも考えたが。ニッケルに飽きたらゴールドにするかも。
EK-Tube ZMT Matte Black 15,9/9,5mm (3m RETAIL)
チューブはマットブラックのソフトチューブにした。これは一般的な透明のPVCチューブと異なりゴム製である。耐久性と柔軟性にとても優れており、色移りの心配は無用。今回のシステムでは冷却水の熱膨張に対する逃げがほぼないので、ハードチューブにはしなかった。見た目より安全性を重視した訳である。ソフトチューブの方が作業が簡単だしメンテナンスも楽である。作ってて面白いのはハードチューブだが、最近は全然作っていないなぁ。
Noctua NF-A12x25 PWM chromax.black.swap
ケースファンは、Noctuaの「NF-A12x25 PWM chromax.black.swap」にした。これは「NF-A12x25 PWM」の色違いで、性能はノーマルモデルと全く同じである。このシリーズは防振パッドが7色付属しているので好きなカラーを選んで取り付けできる。ファンブレードの形状からも分かる通り、静圧が優れたファンなのでラジエーターと組み合わせるのに最適なファンである。
完成
いきなり完成。我ながらセンスの良いPCに仕上がったと思う。ラジエーターの長さが405mmあるので、このPCケースだとギリギリだった。メモリとは10mm程度余裕がある。画像を見れば分かると思うが、見た目がほぼAIO水冷クーラーである。冷却水を抜かなくても水冷ブロックとラジエーターを取り外しできるので、メンテナンスは楽ちん。まぁ、あまり分解することはないと思うが。
う~ん、格好良い。ファンが光らないのは良いね。個人的に光るファンはあまり好きじゃないんだよなぁ。ROGはやはり赤が似合う。ちなみに、バックパネル横の排気ファンは取り付けずに、長尾製作所のブランクパネルで塞いである。空いてるとホコリ入ってくるしね。
それと、ビデオカードの下に余っていた92mmサイズの薄型ファンを追加した。このビデオカードは低負荷時にファンが停止するので、その状態でも風を送って冷やそうという試みである。ビデオカードのファンが停止している状態のGPU温度は、動画視聴などの低負荷時で45~50℃位だったが、このファンを追加したことにより40℃以下になった。セミファンレスをオフにしろよと思うかも知れないが、そういう問題ではない。奥に見えている白い棒状のパーツは、アドレッサブルRGB LEDのライティングバー。LEDのツブツブ感が無い上品な光り方をするのでお気に入り。とりあえずここに仮置きしている。
検証
軽く検証をしてみる。水冷化したお陰で13900Kをフルパワーで使用することが可能になった。
Cinebenchを数回繰り返してみたがCPUパッケージ温度が100℃に到達することはなかった。マルチスレッドのベンチ中はたまにスパイクして98℃とか行くが、概ね93℃辺りをうろうろしている状態。今の時期は寒いので温度は低めだが、夏にやれば普通に100℃行くかも。
尚、ポンプのPWMは30%で固定にしている。出力を高めても冷却性能は誤差程度しか変わらないので、普段はこれくらいで丁度良い。ちなみに、上のスクショだとCinebenchのOSにWindows 10と出ているが、ちゃんとWindows 11で検証している。外付けSSDからCinebenchを起動しているのが原因だろう。
ちなみに、使用したグリスはアイネックスの「ナノダイヤモンドグリス JP-DX2」である。普段はシミオシねこグリスを愛用しているが、本格水冷を組むときはナノダイヤを使用している。これが一番冷えるので。
しっかりと冷却を行っているお陰で、マルチスレッドでは驚異の4万超えのスコアを叩き出す。大体40000~40600の間かな、調子に乗って繰り返しているとスコアは落ちる。メインPCと同じような水冷システムを組めば更にCPU温度は下がると思うが、ゲーム用途なのでこれで十分である。ちなみに、電力制限を無制限から253Wに変更すれば、CPU温度は85℃程度に落ち着く。普段は253Wにしておけば十分だろう。ゲームなら200W辺りでも十分だと思う。
メインPCで使用している「MO-RA3」という外付けクソデカラジエーター
CPU温度を下げる方法は電力制限の他に低電圧化(V/Fポイントオフセット等の設定)を行う方法もあるが、適当に電圧を下げると不安定になるのでスキルのない人が触るのはあまりおすすめしない。管理人は安定性を何よりも優先するので、余程冷却が不足している状況でもない限り低電圧化は行わない。遊びで色々と試すことはあるが、普段は安定性重視である。冷却が足らなければ物理的に解決すれば良い(`・ω・´)
久々に強いインテルが帰ってきたのは大変喜ばしいが、性能が足りなければ電力を喰わせろというやり方は相変わらずだった。ライバルを意識しすぎてパワーに全振りしたチューニングなのは明白である。13900Kのメーカー公称の最大ターボパワーは253Wなので、普通に使用するなら電力制限を253W以下にするべき。ミドルハイ~ハイエンドクラスのマザーボードは初期設定で無制限(PL2=4096W)になっていることが多いので、要確認である。
↓続きをアップした↓