巷で最強と言われている高性能な空冷クーラー「Noctua NH-U12A」レビュー!
NH-U12A 仕様 | |
対応ソケット(Intel) | LGA1150, LGA1151, LGA1155,
LGA1156, LGA2011, LGA2066 |
対応ソケット(AMD) | AM4, AM3(+), AM2(+), FM1, FM2(+) |
クーラーサイズ(ファン含む) | H158 × W125 × D112 mm Weight 1220 g |
ヒートシンクサイズ | H158 × W125 × D58 mm Weight 760 g |
付属ファン | NF-A12x25 PWM 120mm fan ×2 |
保証期間 | 6年間 |
NF-A12x25 PWM 仕様 | |
本体サイズ | 120 × 120 × 25 mm |
最大回転速度 | 2000 RPM |
最大回転速度(LNA※) | 1700 RPM (+/- 10%) |
最小回転速度 | 450 RPM (+/-20%) |
風量 | 102.1 m³/h |
風量(LNA) | 84.5 m³/h |
ファンノイズ | 22.6 dB(A) |
ファンノイズ(LNA) | 18.8 dB(A) |
静圧 | 2.34 mm H₂O |
静圧(LNA) | 1.65 mm H₂O |
最大消費電力 | 1.68 W |
最大消費電流 | 0.14 A |
製品寿命(MTTF) | 150.000 h |
※LNAは「Low Nowisee Adapter」の略称。接続時は最大回転数が300回転下がる。
レビュー
パッケージと付属品
付属品はひとつの箱にすべて収められている。
それぞれのソケットに対応したマニュアル。ひとつのマニュアルにまとめられていないので、見間違えたりといったトラブルは避けられる。気遣いが素晴らしい。
左から、AMD用ブリッジ、LGA用バックプレート、LGA用ブリッジ。
LGA用のスペーサーやネジ類。こちらはひとつの袋にまとめて入っている。
AMD用のスペーサーとネジ。こちらもひとつの袋にまとめて入っている。
PWM Y字ケーブル、LNAケーブル 2本。
プラスドライバー。
高性能グリス「NT-H1 thermal compound」とメタルエンブレム。
クーラー本体外観
クーラー本体サイズ
クーラー高さは仕様通り158mm。「サイズ 虎徹Mark II」は154mmなので、NH-U12Aもコンパクトなクーラーである。
ファンを含めた幅は112mm。
ベースプレートのCPUに接触する凸部分のサイズは、約43×43mmと大きめ。加工精度は非常に高く、目視で見る限り歪みは一切無い。
虎徹Mark IIのベースプレートと比較してみる。
サイズは約38×38mmとなっている。AMDだとギリギリのサイズである。LGA115xであればこのサイズでも問題はないが、AM4で使用するならNH-U12Aの方が良さそうなのは言うまでもない。
マザーボードに取り付け
Intelソケットでレビューしている人を良く見かけるので、AM4で解説してみる。マザーボードは多くの人が使用しているであろう定番の「ASRock B450 Steel Legend」、CPUは「AMD Ryzen 9 3950X」を使用する。まぁCPUは何でも良いのだが。
純正で付いている黒い樹脂製のブリッジは使用しないので取り外す。
AM4用の灰色のスペーサーを取り付ける。向きの指定は無い。
AMD用ブリッジを取り付ける。AM4は「4」と表示してある場所にネジを通す。
ネジを締めてブリッジを固定する。正しく取り付けられているかしっかり確認しよう。
CPUグリスを塗布したらヒートシンクの取り付け。ヒートシンクはオフセットデザインであり、前後の区別がある。間違えないようにしよう。また、ファンの取り付ける向きも決まっている。風の流れる方向はこの画像では右から左に流れるようにファンを取り付ける。逆向きでも冷えないことはないが、パフォーマンスは落ちる。
ちなみに、付属のドライバーは使いにくいのでロングドライバーがあった方が作業しやすい。
欲を言えば2本あると更に捗る。高いものではないので、1本持っておくと良いだろう。
ネジは左右均等に少しずつ締めること。一気に片方だけ締め込むと、偏ったり変にストレスがかかったりするし、上手く取り付けできないこともある。最後まで回しきれば最適なテンションになるように設計されている。
ファンを取り付けてファンコネクターをマザーボード上のCPUファンヘッダーに接続すれば完成。CPUファンヘッダーがひとつしかない場合は、付属のPWM Y字ケーブルを使用する。ポンプ用ファンヘッダーのあるマザーボードだと、UEFIでCPUファンと同等に設定可能なものもある。その場合はY字ケーブルは使わずに、CPUファンヘッダーとポンプ用ファンヘッダーに接続しても良いだろう。B450 Steel Legendだとその接続で問題なく動作する。
最大回転数を下げたい場合は、各コネクターにLNAケーブルを接続してからCPUファンヘッダーに接続する。片方のファンだけLNAケーブルを接続すると風量のバランスが崩れ、パフォーマンスが落ちる可能性がある。取り付けるなら両方のファンに接続しよう。まぁ片方だけ接続するなんて人はいないと思うが・・・。
クーラーとメモリのクリアランス
B450 Steel Legendだとメモリソケットとのクリアランスは十分で、メモリに干渉しない。標準的なATXマザーボードであれば問題ないだろう。
検証
NH-U12Aは発売から結構経っているので検証は今更な気もするが、とりあえず軽く行ってみる。
CPUの動作は「Ryzen Masterユーティリティ」で確認する。定格動作で手動オーバークロックは無し。デフォルト設定、Precision Boost Overdrive(PBO)有効、ECOモード(95W)の3パターンで検証する。PBOとは、冷却に余裕がある場合はオーバークロックが自動で働く機能のこと。負荷をかけるソフトはCinebench R20で行う。パソコンが冷えた状態では正確な検証ができないので、Cinebench R20を数回繰り返し、数分放置してから本検証を行う。室温は22℃。ファンコンの設定は、60℃以下は50%、70℃で75%、80℃以上で100%になるように設定してある。
CPUグリスは、NH-U12Aに付属の「NT-H1 thermal compound」を使用する。
パソコン構成
CPU | AMD Ryzen 9 3950X |
CPUクーラー | Noctua NH-U12A |
メモリ | G.Skill TridentZ Neo F4-3autoC16D-32GTZNC |
マザーボード | MSI MEG X570 ACE |
電源ユニット | Seasonic PRIME Titanium 1000W |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO |
PCケース | Fractal Design Define R6 |
まずはデフォルト設定で検証してみる。スクリーンショットはベンチマーク実行中のもの。
CPU温度は65℃辺りで十分冷却が追いついている。3950Xのデフォルト設定は消費電力140W辺りなので、この程度の消費電力だとNH-U12Aはかなり余裕である。
次に、PBO有効で検証してみる。
ピークで約80℃。PBO有効だと消費電力は205W辺りになる。3950Xは水冷推奨のCPUであるが、NH-U12Aであればある程度余裕を持って冷却可能。ちなみに、同じ環境で「サイズ 風魔弐」で検証すると温度は82℃位なので、NH-U12Aは風魔弐より冷却性能が高い。
次に、ECOモードで検証してみる。
OC Modeの表示がPBOになっているが、UEFIで強制的にECOモードにしてある。何回か実行してみたが、60℃を超えることは無かった。流石に消費電力100W辺りだとNH-U12Aはオーバースペックなようだ。100W位であれば虎徹Mark IIでも余裕である。
総合評価
○ 良いと思った点
- 圧倒的な性能の「NF-A12x25 PWM 120mm」ファンがふたつ付属
- ハイエンドツインタワークーラーと同等の冷却性能
- 極めて高品質
✕ 悪いと思った点
- 茶色は人を選ぶと思う、管理人はあまり気にならないがファンは黒なら良かった
ハイエンドツインタワークーラー「Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III」が手元にあるので取り替えてみたが、冷却性能は全くの互角であった。NH-U12Aの方が負荷時のファンノイズは小さいので、ハイエンドツインタワー以上の性能だと言える。Noctuaも140mmサイズのハイエンドツインタワークーラーと同等の冷却性能と謳っている。
The NH-U12A can rival the performance of many 140mm size coolers while offering 120mm class case and PCIe compatibility.
Noctua公式サイト
正直、管理人は120mmサイズのクーラーだしハイエンドツインタワーには勝てないんじゃないかと思っていたのだが。良い意味で期待を裏切られた訳である。
NH-U12Aは、空冷最強の名をほしいままにしているNoctuaなだけあって全くスキのないクーラーである。比較的コンパクトなヒートシンクにヒートパイプを7本収め、現状最高性能の120mmファンをふたつ搭載したクーラーは、空冷最強と言って差し支えないだろう。製品の工作精度は非常に高く、他メーカーの追随を許さない。品質に対して価格も相応だが、性能が高いのでコストパフォーマンスは良いと思う。カラーリングさえ気にならなければ十分満足できる製品だろう。ユーザーからブラックバージョンを求める声が多いらしくその内販売されると思うので、カラーリングが嫌なら待つのも良いかも知れない。