いつもはパソコンやゲームネタが多いのだが、今回はクルマネタである。格好良いステアリングを購入したので、自分のクルマに取り付けてみた。
購入したパーツは、KENSTYLEのオリジナルステアリング(ホンダ A-TYPE シルバーステッチモデル)と、ロングパドルシフト(ホンダ A-TYPE)である。
©KENSTYLE
これらのパーツはホンダ A-TYPEとなっている。適合車種は、フィット、グレイス、ヴェゼル、シャトルで、パドルシフトはS660にも対応している。詳しい型式等は、上記メーカーサイトで確認して欲しい。ステアリングのカラーバリエーションはステッチカラーの色違いで、レッドステッチ、ブルーステッチ、シルバーステッチの3色となっている。
HA01 オールブラックレザー(レッドステッチ)
HA02 オールブラックレザー(ブルーステッチ)
HA03 オールブラックレザー(シルバーステッチ)
取り付ける車種は、管理人が自分で所有しているホンダ ヴェゼル(HYBRID Z)である。最近モデルチェンジをして新型がちょくちょく見られるようになったが、管理人のヴェゼルは初代モデル。人気車種なので街中でも走っている姿を結構見る。
KENSTYLEを選んだ理由
管理人は特にホンダが好きだとかメーカーに拘りは無いのだが、理由あって今のクルマに乗っている。昔から思っていることだが、ホンダ車のステアリングは握りにくいしシートは長時間座っていると疲れる。全部がそうだとは言わないが、その傾向は強いと思う。管理人がホンダディーラーで整備士をしていたときも、そのような事を客から言われることがままあった。自分もトヨタ車や日産車を所有して乗っていたので良く分かるのだが、これらのメーカーの方が全体的に良く出来ていると感じる。もちろん、人によって考え方は違うし感じ方も個人差があるので、どのメーカーが良いとは言えないのだが。
ヴェゼルの乗り心地は個人的に残念な部類に入るが、良い部分もある。スポーツカーのようにステアリングの応答は良好で、操作していてとても楽しい。特に、エンジンの吹け上がりは感動ものである。流石エンジン屋と言ったところ。ベタ踏みすればレッドゾーンの7000回転までスムーズに吹け上がるし、重たそうな図体にも関わらず1500ccとは思えないインチキ加速をする。何よりエンジン音が良い。
乗り心地は何とかしたいと思うがシート交換はコストが高い。そもそも、今の仕事だとクルマは殆ど乗らないので、あまりいじる気も起きない。とりあえず、ステアリングだけでも交換しようと思い、ついでに記事を書くことにした。ブログ更新していないし。
アフターパーツのステアリングと言えばMOMOやナルディを思い浮かべる人が多いと思うが(古い・・・)、最近は純正交換タイプのステアリングが主流になっている。その理由として、エアバッグの普及が挙げられる。一昔前のクルマは、エアバッグ(正式名称:SRSエアバッグシステム)はオプション扱いか、車種によって設定がないものもあった。なので、エアバッグが無い車種は、MOMOやナルディのステアリングに交換している人が多かった。エアバッグがあっても走りやドレスアップ目的でステアリングをエアバッグ無しのものに交換する人もいたが、安全性が重要視される今日、エアバッグを取り外すなんて正気の沙汰ではない。正常な思考であればそう考える人は多いだろうし、時代の流れもあって純正交換タイプのステアリングが多く出回るようになった。
©KENSTYLE
能書きが長くなったが、管理人がKENSTYLEを選んだ理由は、純正交換タイプであることと、完全に見た目である。今回は通信販売を利用し実物は確認しないで購入した。
KENSTYLE オリジナルステアリングは形状が最近のトレンド(?)である「Dシェイプ」となっている。純正ステアリングと比較すると、全体的にかなり太めに見える。太いから外径が大きくなっているのではと感じるが、良く見ると内側に向かって肉厚になっており、外径は抑えられているのが分かる。これには開発者の拘りが感じられる。恐らく、言われないと気づかない人もいるだろう。KENSTYLEは一流ブランドだし安物パーツではないので、この見た目だけで握りやすいステアリングであると確信した。
他に良く見るものとして、上記のようなウッドコンビステアリングがある。ウッドの部分がカーボン調になっていたり、ブラック塗装仕上げであったり様々である。好みの問題なのだが、管理人は革巻きが好きである。なので、今回はKENSTYLEを選んだ。パドルシフトもKENSTYLEで統一すれば、相乗効果で格好良さは3倍にもなる気がする。まぁ管理人はパドルシフトなんて普段全く使わないので取り付けても無用の長物だが、重要なのはブランドと見た目である。
ちなみに、管理人は見栄っ張りというわけではなく単に拘りが強いだけである。自分が満足すれば良いので、クルマいじりに関しては他人の目線はあまり気にしない。
自動車整備に関する注意事項
ステアリング等の重要保安部品に関する整備は、ディーラーやショップに頼む人が多いと思う。管理人は元整備士なので工具と環境さえ整っていれば殆どの整備は行えるが、素人はそうはいかないだろう。SRSやブレーキ等の重要保安部品(細かく言うと、原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置など)は、スキルの無い人が触るのはおすすめしない。腕に自信のある人以外は素直にプロに任せた方が良い。特に、電装に関しては正しい知識がないと、最悪クルマが炎上するので慎重に。
ディーラーやショップでステアリング交換を頼む場合、当然だが作業工賃がかかる。ステアリング交換の工数は車種にもよるが概ね0.8~1.2位なので、6000~10000円辺りだと思われる。気になる人はディーラーやショップに問い合わせてみると良いだろう。中には持ち込み不可能、もしくは持ち込み時作業料金割増のショップがあるので、事前に確認することをおすすめする。
必要な工具
ステアリング交換作業で使用する工具は以下になる。今回の作業で重要な工具は画像を載せてある。当然であるが、車種によって必要な工具は変わってくる。
- トルクス T30
- ヘキサゴン 10mm
- プラスドライバー #2
- スパナもしくはソケットレンチ 10mm
- トルクレンチ(40N・mで締め付け可能なもの)
- ネジロック 中強度(ボルトを再使用する場合は必要)
トルクスT30は、エアバッグ本体を固定しているトルクスボルト2本を取り外すのに使用する。トルクスボルトはネジロックが塗布されており手回しだと固くて回らないので、下の画像のように通常のラチェットと早回し用の小さいラチェットを用意すると便利。締め付け時に大きいラチェットで締め込むとオーバートルクになる可能性が高い。このトルクスボルトはそんなにトルクを必要としないので、小さいラチェットでギュッと締め付ければ十分。
ヘキサゴン10mmは、ステアリング本体をステアリングコラムシャフトに固定しているヘキサゴンボルトを取り外すのに使用する。
KENSTYLE オリジナルステアリングにヘキサゴン10mmのアダプターが付属しているので、ヘキサゴンレンチが無くともソケットレンチがあれば取り外すことは可能。しかし、ステアリング本体を固定しているヘキサゴンボルトは緩めるのにホイールナットを取り外すくらいのトルクが必要になるので、専用工具はあった方が良い。上の画像のようにしっかりとトルクのかけられる12.7sq(1/2)サイズの工具がベター。9.5sq(3/8)サイズだと厳しいと思う。良くあるL型レンチに鉄パイプの組み合わせは論外。整備士が質の高い整備ができるのは、一流の工具を揃えているからである。腕より道具。
ステアリング交換での最大の難関は、ステアリング本体を固定しているヘキサゴンボルトを取り外すことである。ヴェゼルのようにハンドルロックが無い車種は、ステアリングを固定する工夫が必要になる。インパクトレンチがあれば楽だが、舐める可能性があるのでおすすめしない。ホンダ車の場合、ステアリング本体はコラムシャフトに強く嵌合していないので、基本的にプーラーは必要無い。固着している場合、ステアリング本体左右を軽く叩いてあげれば大抵緩む。このとき、ヘキサゴンボルトは外さないで緩めた状態にしておくこと。ステアリング本体とシャフトの嵌合が緩んだ瞬間にステアリング本体が落ちることもあるので。
プラスドライバーは、パドルシフト本体やアース線を取り外すのに使用する。10mmのスパナは、バッテリーのマイナス端子を外すのに使用する。
トルクレンチは、ステアリング本体を固定しているヘキサゴンボルトの締め付けで使用する。締め付けトルクは管理人が確認したところ、ヴェゼルの場合40N・mとなっていた。フィーリングで締め付けないで、必ずトルクレンチを使用すること。多少誤差があっても緩むことは稀ではあるが。
ひとつ注意として、エアバッグ本体を固定しているトルクスボルトと、ステアリング本体を固定しているヘキサゴンボルトは再使用不可のパーツである。管理人はネジロックを塗って再使用するが、この方法はあまりおすすめしない。大して高いパーツではないので、ディーラーで新品を取り寄せてもらった方が良い。再使用するならネジロックは必ず塗布すること。メーカーがわざわざネジロックのボルトを使用するのは、ちゃんと理由があるのだ。ネジロックがあるからと言って何度も再使用するのもやめよう。
交換作業
まずは純正の状態。一応、最上位グレードなのでスムースレザーステアリングが装着されている。これは通常のレザーよりも品質が高いレザーを使用しており、触り心地はなかなか良好。しかし、形状はノーマルなデザインであり、今風のコブ付きステアリングではないので握り心地はイマイチ。握るポジションを変えてもしっくり来ない。最近は軽でもスポーティなコブ付きレザーステアリングを採用している車種もあるので、微妙に感じるのは仕方ない。ちなみに、後期ヴェゼルの上位グレードはコブ付きになって少し太くなったので、これより少しはマシになっている。まぁ好みの問題もあるので、どれが良いかは人によって異なるだろう。
それでは実際に交換作業をする。基本的に電装系やSRSをいじるときはバッテリーのマイナス端子を予め外しておく。構造的にバッテリーは外さなくてもエアバッグが展開することはないが、安全は何よりも優先するべき。そもそもマイナス端子を外しておかないとSRS警告灯が点いてしまう(点かない場合もある)ので、差し支えなければ外して作業するのが普通である。
マイナス端子を外したら端子同士が接触しないようにウエスを挟んでおく。オーディオを変更しているのでプラス端子とマイナス端子に配線が追加されているが、気にしないで欲しい。
ステアリング本体右側面。エアバッグ本体を固定しているトルクスボルトがある。反対側にも同じものがもう1本ある。ネジロックが塗布されているので回すのに抵抗がある。この2本のトルクスボルトを外せば、エアバッグ本体が引き出せるようになる。もしトルクスボルトがカバー内に脱落しても、後で救出できるので慌てないように。
エアバッグ本体に付いているホーン(警笛)のアース端子。取り外し方は、スポンジに隠れて見えないがカプラー側面中央付近にロック解除のポッチがあるので押し込んだ状態で外す。無理に引っ張っても外れないので注意。
こちらはエアバッグ本体に接続されているカプラー。外し方は、白いツメを手前に引っ張ればロックが解除されてスムーズに外れる。取り付けはツメに触れなくてもそのまま接続すれば自動でロックされる。左側に見えているゴツいボルトがステアリング本体を固定しているヘキサゴンボルトである。このボルトとケーブルリールに付いている白いカプラーを外せば、ステアリング本体は取り外し可能になる。
ケーブルリールはホンダ車の場合(他のメーカーも大抵は同じ)ステアリングがセンター状態(タイヤが真っ直ぐ)であれば、ケーブルリールは時計回りに回転させて、止まった位置から反時計回りに2回転半~3回転の位置がセンター位置である。何かの拍子で位置がズレてセンターが分からなくなった場合は、この方法でセンターを出そう。反時計回りが禁止のケーブルリールで反時計に回しすぎると断線する恐れがあるのでやらないように。大抵はケーブルリール本体に表示がある。
組付け時の注意点であるが、ステアリング本体の角度がズレた状態で組んでしまった場合は、面倒でもステアリング本体を組み直すこと。タイロッドでセンター調整をする人がいるが、これは微調整で行うものである。タイロッドで大幅に調整を行うとハンドル左右の切れ角に差が出てしまう。言い方を変えれば、タイヤは真っ直ぐになってもステアリングギヤボックス内部のシャフトのセンターはズレているということになる。何を言っているか理解不能であれば、それはスキル不足なので素直にプロに任せた方が良い。管理人の説明の仕方が悪いのもあるが。
取り外したエアバッグ本体。上の方にホーン用端子、中央にインフレーター用端子がある。
取り外したステアリング本体。スイッチ類の交換作業はクルマの中より家の中の方が楽ちん。傷防止に下にスポンジを敷いてある。
右下のスイッチを固定しているプラスネジを外せば、スイッチパネルは手前に少しずらせるようになる。隙間が空いたら各スイッチに接続されているカプラーを外す。これで手前に引っ張ればスイッチパネル本体を取り外せる。少しずつ慎重に力をかけないと、スイッチパネルを割ったりステアリングに傷を付けてしまう恐れがある。無理に引っ張らないで時間をかけてゆっくり作業すると上手くいくだろう。スイッチパネルはステアリング本体に圧入されているツメが何個かある。ステアリング本体裏に付いているハーネスを固定しているカバーもツメで止まっているだけなので、取り外しは容易。パドルシフト本体は左右共にプラスネジ1本で固定されているので、ネジを外せばカバーごとパドルシフトを取り外せる。アース線を止めているネジを外すのを忘れずに。
スイッチパネル本体。
スイッチパネル本体裏側。
半円状の突起があるが、これがステアリング本体にハマる構造になっている。
主役の登場。純正と比較するとかなりスポーティな外観である。
メーカーサイトには載っていない裏側の画像。トップとボトムの裏側は滑り止めの凹凸が無いシンプルな形状。あれ好きじゃないんだよね、見た目が。
取扱説明書と10mmのヘキサゴンアダプター。先程も述べたが、これは使わないでヘキサゴンソケットを用意した方が良い。
こちらはロングパドルシフト。両面テープで固定し、付属のプレートで挟むだけなので取り付けはとても簡単。このパーツだけの取り付けなら、ステアリングを分解する必要は無い。
ステアリング本体完成。取り付けは分解の逆の手順で行う。レザーに傷を付けないよう粘着の弱いマスキングテープ等を駆使して傷防止に努めよう。
以下、パドルシフトギャラリー。
ロングパドルシフトは必要最小限の厚みで作ってあるとは思うが、純正状態と比べると少し厚みが増す。管理人が普段と同じように持ってもパドルシフトに指が接触することはないが、手が大きめの人だと指が接触するかも知れない。
車両に取り付けて完成。光の加減でグレーっぽく見えるが、ちゃんと純正と似たような色合いのブラックレザーである。純正ステアリングも悪くはないが、やはりスポーティなステアリングは気分が上がる。ヴェゼル自体が元々走りを意識したクルマだし、こちらの方が合っている気がする。
Aピラーに付いている追加メーターが何なのか気になる人がいるようなので、別で記事をアップした。
実際に使用した感想
まずは肝心な握り心地であるが、純正と比較して適度に太さが増してるので、全体的にグリップ感は良好。見た目の太さよりも、実際に握った感触はそれ程太くは感じない。9時15分の持ち方は言うまでもなく、純正より遥かに握り心地が良い。個人的にはボトム部分の握り心地が最高である。Dシェイプ形状なのでぐるぐる回す場合は違和感があるのかと思うかも知れないが、極端な形状でもないので違和感は全く無い。純正ステアリングに慣れている人でもすぐに慣れるだろう。小柄な女性の方にも運転してもらったが、純正より運転しやすいとのこと。手が小さくても特に問題ないそうだ。実際、管理人もKENSTYLEの方が運転しやすいと感じる。
画像を並べて純正と比較してみる。上の画像はどちらもほぼ同じ位置で撮影。ステアリングの外径はほぼ同じである。Dシェイプでボトム側が絞れた形状をしているので、見た感じだと純正より小口径になったのではと錯覚する。ガングリップ形状の外観はスポーティなのでドレスアップ効果は抜群である。
レッドステッチやブルーステッチも写真で見ると格好良いのだが、全体的に暗い色でまとまっているヴェゼルの内装だとかなり目立つ。ノーマルに近い状態であればシルバーステッチが無難な選択だろう。純正ステアリングと同じブラックカラーのステッチがあれば良かったと感じるが、まぁこれは個人的な好みの問題である。
ロングパドルシフトの操作性であるが、アルミ製で適度に重さがあるお陰で、純正に比べて高級感が増した感じがする。悪く言えば軽快感が無くなったとも言える。長くなっている上端の方で操作しても、操作感が重くなる等の問題はない。パドルシフトを多用する人であれば快適になると思われる。プレートで挟む構造なので剛性は高くグラつきは一切無い。耐久性は十分。外観は光沢のあるブラックカラーで、ヴェゼルのピアノブラック内装と相性が良い。もちろん、どの車種でも違和感なく溶け込むカラーリングだろう。何より見た目が格好良いので、パドルシフトを使わない人でも見た目で取り付けるのは大いにアリだと思う。
最後に、ステアリングの握り心地やパドルシフトの使い心地の感じ方は人によって違うので、これが正解というのは無い。純正が一番だと感じる人もいるだろう。社外ステアリングが気になる人は、近くに取り扱いのあるショップがあれば実際に触れてみると良いだろう。目的の物が無い場合はノリと勢いに任せてポチるしかない。
HA01 オールブラックレザー(レッドステッチ)
HA02 オールブラックレザー(ブルーステッチ)
HA03 オールブラックレザー(シルバーステッチ)