主観的に定番だと思われるCPUグリスの性能を比較!
比較するCPUグリス
1,Thermal Grizzly Kryonaut
高性能グリス筆頭である通称「クマグリス」は、オーバークロッカーのみならず、一般のジサカーにも愛用されているCPUグリス。柔らかくて伸びが良く、非導電性。熱伝導率は12.5W/m・k と文句無しのスペック。
2,親和産業 シミオシ OC Master SMZ-01R
プロオーバークロッカー清水貴裕氏とのコラボレーションモデル。通称「ネコグリス」。クマグリスよりも柔らかくて伸びが良い気がする。こちらも非導電性。熱伝導率は13.2W/m・k とハイスペック。
3,アイネックス ナノダイヤモンドグリス JP-DX1
JunPusブランドの熱伝導性能の高い炭素結晶グリス。クマグリスやネコグリスと比較すると、硬めで伸びが悪い。綺麗に塗りたいのであれば、あらかじめグリスを湯煎等で温めておくと良い。こちらも非導電性。熱伝導率は16W/m・k と非常にハイスペック。
検証に使用するパソコンの主な構成
CPU | Core i9-9900KF |
CPUクーラー | サイズ虎徹 Mark II / サイズ 風魔弐 |
メモリ | CORSAIR VENGEANCE LPX Series DDR4-2666MHz 8GB×2枚 |
マザーボード | ASRock Z370 Extreme4 |
電源ユニット | Seasonic PRIME Titanium 850W |
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 2060 Twin Fan |
CPUは定格動作(電力制限無し)と、全コア5.0GHzコア電圧1.27Vでオーバクロックした状態で検証する。クーラーは「虎徹 Mark II」及び「風魔弐」を使用する。検証方法は、CINEBENCH R15を10回程連続で実行して、HWMonitorというソフトでCPUパッケージの最大温度を確認する。現在、いつも使っているまな板ケースが不在なのでケースに入れた状態で検証するが、サイドパネルと上面パネルは外した状態で行う。尚、室温は22℃。
グリスの塗り方について
グリスはすぐに馴染むようにヘラで伸ばして塗布する。クマグリスとネコグリスは柔らかいので、伸ばさないで適当でも性能に差は出ないのだが、ナノダイヤグリスが硬くて伸びが悪いのでそうした。
検証
まずは、コスパ最強クーラーである「虎徹 Mark II」で検証したデータがこちら。
定格動作の結果を見ると、グリスのスペック通りの結果が現れていると言えるだろう。問題なのは全コア5.0GHz動作の方で、虎徹の冷却性能が完全に不足していることが分かる。コア電圧1.27Vで限界のようだ。CINEBENCH R15はそこまで負荷の高いソフトではないので、この状態での常用は大変危険である。まぁ9900K辺りのCPUでオーバークロックする人は、虎徹は使わないだろうが。
ちなみに、定格動作で電力制限を90W辺りに設定すれば、虎徹でも60~70℃辺りまで温度を抑えられる。爆熱CPUの発熱に悩んでいる人はUEFI(BIOS)で設定をしてみると良いかも。
次に、ツインタワークーラーの「風魔弐」で検証したデータがこちら。
流石ツインタワーといったところ。十分に常用可能なレベルまで発熱を抑えている。クマグリスとネコグリスの性能はほぼ同等と言って良いだろう。1~2℃の差は正直誤差だと思う。ネコグリスの方が柔らかくて伸びが良く、非常に塗りやすいので、極冷をしないのであればクマグリスよりネコグリスの方が良いと思う。
気になるのはナノダイヤグリスの性能で、クマグリスと比べて明らかに冷却性能が高いことが分かる。熱伝導率16W/m・kという性能は本物のようだ。硬くて塗りにくいのを我慢すれば、他に欠点は見当たらない。ナノダイヤは現状最高クラスの性能を秘めたCPUグリスかも知れない。
まとめ
Kryonaut | SMZ-01R | JP-DX1 | |
冷却性能 | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
塗りやすさ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆☆ |
コスパ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆ |
主観的評価 | ☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
分かりやすいように表にしてみた。星の数はあくまでこの3種類のグリスで比較したもの。どのグリスもハイエンドに位置するグリスなので、正直好みで選んで良いと思う。塗りにくいのを我慢すればナノダイヤグリスが性能面で良いのだが、総合的に優れているのはネコグリスだと思う。どれを買って良いか分からないのであれば、ネコグリスにしておけば間違いない。