AGESA 1.1.8.0で追加された「Precision Boost Overdrive 2」で利用可能な「Curve Optimizer」機能の設定方法について。
Ryzen 5000シリーズで利用可能な「Precision Boost Overdrive 2」の提供が開始され、昨年12月下旬に各メーカーから新しいバージョンのUEFIがダウンロード可能になった。管理人の使用しているマザーボードもベータバージョンではあるが更新可能になったので、早速試してみた。UEFIの更新方法については各マザーボードのユーザーマニュアル等を参考にして欲しい。今回は、MSI MEG X570 ACE マザーボードを使用して解説する。
※UEFIの更新に失敗してもメーカー保証は受けられないので、更新する場合は自己責任で。
※ベータバージョンはサンプルのソフトウェアなので、日常使用するパソコンで利用するのはリスクが高い。利用する場合は自己責任で。
※オーバークロックはメーカーや代理店の動作保証対象外になるので自己責任で行うこと。
「Curve Optimizer」の設定方法
まずはパソコンの電源を入れデフォルトキーを押してUEFIを開く。
Curve Optimizerは「Precision Boost Overdrive」を「Advanced」にすることで設定可能になる。
「Curve Optimizer」を選択する。
「Curve Optimizer」では、コアの設定とコア電圧の設定が行える。コアの設定は「All Cores」と「Per Core」のふたつが選択可能だが、「All Cores」で問題ないと思う。コア電圧を変更しないのであれば、設定はこれで完了。下の項目はそのままで構わない。
コア電圧の設定は、下げるのであれば「Negative」を選択する。上げるのであれば「Positive」を選択する。
下にある「Magnitude」という項目は、一般的にカウントと呼ばれる単位の値を入力する。1カウントで3~5mVの可変となっており、30まで設定可能。ここではとりあえず「Negative」を選択し「10」と入力した。つまり、30~50mV(?)の下げ設定である。
設定を終えたら保存して再起動をする。試行錯誤を繰り返して、最適な値を探ろう。
Curve Optimizerの設定方法については以上。
検証
軽く検証してみる。まずはBIOSを更新する前のデータ。CPUは「Ryzen 9 5950X」を使用。PBO有効の設定。
次に、PBO2有効 Curve Optimizer Negative 10カウントの設定。
スコアが若干上がっている。注目して欲しいのが赤く囲った消費電力の値で、コア電圧を下げる設定にしたにも関わらず若干上昇してしまった。BIOS自体の最適化が良くなってCPUのパワーを引き出せるようになり、そのせいで消費電力が上がったのかも知れない。ソフト読みなのであまりアテにはならないが。
こちらはベンチマーク中のスクリーンショット。なんとほぼ全てのコアが4475MHzで動作している。以前は4325~4375MHzだったので、BIOS更新しただけで100MHz程上がるようになった。CPU温度は殆ど変わっていないので、Curve Optimizerがちゃんと効いているのだろう。
次に、Negative 15カウントで試してみる。
スコアが少し上がったが、消費電力も上がった。色々と試しまくっていたのでCPU温度がヤバいが、90℃以下なので問題ない。カウントをある程度下げても不安定になることは無かったので、手動オーバークロックよりお手軽で確実だと思った。
ちなみに、カウント0だとコアクロックは4400MHzで動作するので、クロックを上げたいならカウントを下げる方が良い。下げ過ぎると不安定になる可能性があるので程々に。
補足
「Precision Boost Overdrive 2」を利用可能な条件は、「Ryzen 5000シリーズ」、「AMD 400/500シリーズチップセット」、「AGESA 1.1.8.0以降のBIOS」、この3つが条件となっている。
「Curve Optimizer」機能は「Precision Boost Overdrive 2」の中でも重要な機能である。どの程度電圧に余裕があるのかを常時システムに知らせており、負荷の軽いコアは電圧を下げ、その余力を別のコアに回している。簡単に言うと、無駄を無くし効率を高める機能である。言うまでもないが、効率が高まれば処理性能は上がる。