【21/1/4 追加作業 UP】
共立電子産業の販売しているステレオパワーアンプとパッシブコントローラーを買ってみたのでレビューしてみる。
購入したもの
製品名:高音質ステレオパワーアンプ組立キット
型番:WP-SSA10W
【製品仕様】
- 電源電圧 AC100V(50/60Hz)
- 出力:
8W+8W(8Ω THD10% 1kHz)
5W+5W(8Ω THD0.05% 1kHz)
推奨スピーカーインピーダンス:4Ω~8Ω - 入力:ラインレベル
入力インピーダンス 10kΩ - サイズ:184(W)×57(H)×258(D)(突起部含まず)
- 重量:約2.8kg
製品名:パッシブコントローラー組立キット
型番:WP-PC33
【製品仕様】
- 入力:LINE 3系統(RCAピンジャック)
- 出力:LINE 3系統(RCAピンジャック)
- ボリューム:10KΩ(Aカーブ) 2連
- ロータリースイッチ:ショーティングタイプ
- 外形サイズ:110(W)×150(D)×60(H)mm(突起部除く)
- 重量:630g
久しぶりに簡単な電子工作をしてみたくなったので、以前から気になっていたステレオパワーアンプを購入した。今回購入したのは「高音質ステレオパワーアンプ WP-SSA10W」と「パッシブコントローラー WP-PC33」のふたつ。
一般的にステレオアンプと言えばプリメインアンプを指すことが多い。プリメインアンプとは、プリアンプとパワーアンプをひとつにしたものである。プリアンプは、音源のソースを選択したり音質や音量を調整するもの。パワーアンプは、プリアンプから送られてくる電気信号を増幅し、スピーカーで再生可能なレベルにするもの。上記の「WP-SSA10W」はプリメインアンプではなくパワーアンプなので、別にプリアンプが必要になる。「WP-PC33」はソースを選択し音量の調整が行えるのでプリアンプと同等に使用可能。これらを組み合わせればプリメインアンプと同じになるという訳だ。
上記のキットはどちらも半完成品なので、基板は組立完成済みとなっている。こちらで必要な作業は配線だけとなっており、電子工作の中では初心者向けである。初心者とは言うものの、ハンダ付け作業はあるのでハンダの扱いに慣れていないと組み立ては難儀する。
組立
パッシブコントローラー
まずは「パッシブコントローラー WP-PC33」のレビュー。
パッケージは至ってシンプル。
傷が付かないようにしっかりとパーツ単位で梱包されている。
組立説明書はフルカラーとなっているので分かりやすい。
フロントパネル。ボリュームとセレクターは取付済み。
フロントパネル裏側。配線も取付済み。
リヤパネル。フロントパネルと同様に、厚み5mmのアルミ削り出しパネルとなっており高級感がある。
アルミケースもしっかりとしたものになっている。アルマイトの処理がちょっと安っぽい。これはオリジナルのものではなく汎用品っぽい。
基板はブラックカラーで格好良い。共立電子産業のハイグレードオーディオブランドである「WonderPure」のロゴが入っている。
RCAジャックは金メッキ仕様。見た感じ安っぽいものに見られる薄い金メッキではなくしっかりとしたもの。品質は良好。
ネジ類とゴム足。管理人は別のインシュレーターを使用するのでゴム足は使わないが、付属品でもしっかりしたものなので全く問題はない。これでも十分。
組み立ては実に簡単で、ネジでケースと基板を組み合わせて配線コネクターを接続するだけである。こちらのキットはハンダ付け作業は必要ない。
WP-PC33の完成。オーディオテクニカの「AT6098 ハイブリットインシュレーター」が余っていたので両面テープで取り付けた。制振効果がどうこうよりも完全に見栄え重視である。
ボリュームの感触は滑らかでトルクの変動や引っ掛かりは無い。セレクターは適度に重さがあり、ハッキリと切り替わりの感触がある。ノブを取り外して確認したが、アルミ削り出しの良質な物であった。表面だけアルミのカバーになっている中身樹脂製のノブもあるので、これは地味に嬉しいポイント。重さのあるアルミ製ノブのお陰で操作した感触が良いのだろう。
入力は3系統を切り替えることができるが、出力は3系統全て同時に出力される仕様となっている。つまり、切り替えられるのは入力側のみである。例えば、バイワイヤリング接続に対応したスピーカーであれば、2系統の出力を利用しステレオパワーアンプをふたつ接続することで、スピーカーをバイアンプ駆動にすることが可能になる。
WP-PC33は単にソースの切り替えと音量を調整するだけなので、音質に与える影響は僅かである。どうしても気になるようであれば、ボリュームをよりグレードの高いものに交換すれば良い。
高音質ステレオパワーアンプ
次に「高音質ステレオパワーアンプWP-SSA10W」のレビュー。
こちらのパッケージも至ってシンプル、大きさは丁度A4サイズ。
パワーアンプ本体。
組立説明書。こちらもフルカラーとなっている。内容は細かく丁寧で非常に分かりやすい。
インシュロック2本、電源スイッチLED用コネクター、AWG22のスズメッキ軟銅線 白黒赤青の4本。
電源ケーブルは一般的なアース付き3極ケーブルでトラッキング防止のものだが、アース線がないのでアース接続は不要。
パワーアンプ本体を開封。各パネルはアルミ削り出し仕様で、丁寧にアルマイト処理されている。フロントパネルの厚みは5mm、サイドパネルの厚みは10mmもある。重量は3キロ弱ありサイズからするとかなり重い。
フロントパネルは非常にシンプルで、電源スイッチとブランドロゴがあるだけ。
ターミナル類は良質なものが使われており、RCAケーブルやバナナプラグを取り付けた時の感触が良い。RCAジャックの上にあるノブは、左右音量差がある場合のみ調整するもので、基本的にはどちらも全開にして使用する。
トップパネルを取り外した状態。各基板と電源の配線は完成済みで、綺麗に配置されている。
WP-SSA10Wのパワーアンプは「LM1875 20W オーディオ・パワー・アンプ」が採用されている。WP-SSA10Wに取付済みのパワーアンプ基板は、単体ではモノラルアンプである。ステレオであればふたつ必要になるので、当然ふたつ取り付けてある。この完成済みパワーアンプは単体でも販売されている。
それでは配線作業をする。ケースは高温のハンダこて等が接触して傷がつかないように、予めマスキングテープで保護しておく。
電源スイッチに内蔵しているLEDの電源を配線する。トロイダルトランスが至近距離にあるので、焦がさないように注意しながらハンダ付けをする。
スピーカーターミナル。周りに何もないので作業はしやすい。
切り出した銅線の両端はハンダメッキ(電線がバラバラにならないようにすること)し、基板の端子にネジ止めする。少しでも電子工作をしたことのある人なら簡単な作業である。
配線作業が完成した状態。今回は余っていた銀入りハンダを使用した。銀入りハンダは通常のハンダに比べると綺麗に仕上げるのが難しいので、初心者は普通の電子工作用ハンダを使おう。ハンダ付けが下手だと画像のように悲惨な仕上がりになってしまう。少しでも良い物を使って音質向上を狙いたい所だが、ハンダで音質の違いを聴き分けるのはプロでも難しい。綺麗に仕上げる事の方が重要なので、使用する銅線やハンダは普通のもので構わない。
管理人の場合、持っていた20Wのハンダこてが調子悪く、別にあった40Wのものを使用したらパワーがありすぎて作業が難航した。仕上がりに納得できなかったので、後日新しいハンダこてを購入し一部作業をやり直した。今回のレビュー画像はやり直す前のものである。
銅線が足らなかったので、材料が全部揃って完成したら、再度写真を撮って載せようと思う。
追加作業(21/1/4)
スズメッキ軟銅線を調達したので配線作業をやり直した。
付属のスズメッキ軟銅線は太さがAWG22であるが、同じ太さの在庫が無かったのでAWG20を使用した。注意として、AWG20だと銅線2本を束ねている場合、緑色の接続端子に太くて差し込むことができない。銅線を撚り合わせたらペンチで少し潰してからハンダメッキをする等、工夫が必要になる。
※導体外径は、AWG22=0.6426mm、AWG20=0.8128mmとなっている。
使用した銅線は以下。自己満足でスピーカーまわりの配線を余っていたオーテクのAT567Sにしたが、違いは体感できなかった。
完成
デスクトップパソコンのモニターの下に設置した。
裏側はこのようになっている。使っていないRCAジャックには腐食防止にカバーを取り付けた。ケーブルは余っていたものを取り付けてあるので、後で長さを測って適切なものに交換する予定である。
電源スイッチはオンにするとブルーに光る。かなり控えめな光量なので、デスクトップでも全く気にならない。
パワーアンプの消費電力をワットチェッカーで測定してみた。ほぼ4ワットでたまに5ワットになる。音量は関係なく常時この状態。とても省エネなパワーアンプである。
こちらはデスクトップの様子。スピーカーを置いてある棚は、ロイヤル社のチャンネルサポート棚柱と木棚ブラケット(通称ガチャ柱)、パイン集成材で作った棚板をそれぞれ組み合わせたもの。サブモニター裏側の高い位置にスピーカーを配置してあり、デスクトップ右側にも同じように棚を設置しスピーカーを配置してある。
壁に貼ってある黒いデコボコしたものは音響を改善するウレタンフォーム。正直、これはあってもなくても殆ど変わらない。見栄え重視で貼り付けたものである。
右の黒いスピーカーは、常時使用している「FOSTEX PM0.4c」アクティブスピーカー。配置が左右逆だがRCAケーブルをLR逆に接続しているので問題ない。
音楽鑑賞等で使用しているのは左の白いスピーカーで「Wharfedale(ワーフェデール)REVA 2」という英国製のもの。言うまでもないが、WP-SSA10WにはREVA 2を接続した。普段使用しているアンプは「Denon PMA-60」フルデジタルアンプで、個人的に弱点が無いと感じる優秀なアンプである。クリアで透き通った音質はREVA 2と相性が良く、デスクトップ環境ではこの組み合わせで全く不満がない。
WP-SSA10Wは、メーカーが「マークオーディオなどメタルコーンスピーカーとの相性は抜群」としているが、これは恐らく小口径フルレンジスピーカーのことだと思われる。以前、公式ブログでそのようなことを紹介していた記事があったので。
REVA 2のような比較的大きなスピーカーだと出力が不足するのではと疑問に思うかも知れないが、正直なところ出力5Wもあれば十分である。実際に使用してもパワー不足は全く感じない。ちなみに、REVA 2の推奨アンプ出力は20~80Wとなっている。
肝心なWP-SSA10Wの音質に関してだが、メーカーの言う通り解像度が高く柔らかい印象を受けた。PMA-60との比較になるが、普段聴いている曲をWP-SSA10Wで再生すると、PMA-60では聴こえない音(特に高域の音)が聴き取れるし、余韻も残る気がする。原音に忠実かどうかはさておき、繊細な音を再生するのはデジタルアンプよりもハイグレードなアナログアンプの方が得意なのかも知れない。
音質はアンプよりもスピーカーに大きく依存するので断言はできないのだが、高解像度なのにソフトサウンドは間違いないようだ。WP-SSA10Wは管理人の好みの音質だったので、しばらくはこれで楽しみたいと思う。またアナログアンプにハマりそうである。
余談だが、管理人はオーディオオタクではないし音にはそこまで拘りはない。基本的に自分の気に入った音質であれば満足するので、ケーブルがどうのとか、アンプのクラスがどうだのは全く興味が無い。ネトゲで言うエンジョイ勢である。マニアックな質問をされても答えられないので悪しからず。
使用した工具類